「あたし夢あるんだよね」



久しぶりに獄寺くんと山本とが俺の家に遊びに来た。いや、いつも来てるんだけどなんていうか。 4人揃ってってこと。いつもはが京子ちゃんたちと遊んでていないだとか、山本が野球してていないだとか。 (でもたいてい獄寺くんはいつもいるんだよね)久しぶりに4人集まってテンション上がってるが急にそんなことを言い出した。 「そりゃ、誰だって夢はあるだろ」そんなに対して獄寺くんは言う。



「まず1つ」
「"まず"?」



過去に行くこと。ずーっと昔。
そんなに獄寺くんは「あほか」という。俺も思う。は何言ってるんだろう。 一方の山本は「ははっ、いい夢だな」とのん気に笑ってる。


「10年バズーカで未来へ行けてるんだから、過去へ行く方法だってきっと見つかる!」
「そりゃ、技術が進歩してけばそうなるかもしれないけど…!」
「でもよ、過去にいってなにすんだ?」
「よくぞ聞いてくれた!山本くん!」



2つめは、過去に行ってマフィアの誕生をなくすこと。
それを聞いた俺は思わず「はあ?」と間抜けな声を出してしまった。マフィアの誕生をなくすって…。何言ってんの!? そう聞き返すと、は少し寂しそうな顔をして言った。



「マフィアの誕生を止めれば、ボンゴレなんてマフィアも存在しないでしょ?」
「た、確かにそうだけど…」
「そしたら、ツナだって10代目になる必要なんてないし、みんなだって戦うことないんだよ?」



普通っていうのもおかしいかもしれないけれど、普通の人と同じような生活が送れるんだよ?ツナだって怪我負うこともないし、 修行とかもしなくていいし、獄寺だって煙草吸ってなかったのかもしれないんだよ!(いや、それはマフィアとか関係ないと思うけど…) 山本くんだって、大好きな野球できるし!
その話を聞いて俺も獄寺くんも山本も口をあんぐりとさせられた。何を言ってるんだろう、本当には。 でもは真剣な目で話してるから、きっとこの子は本気なんだろう。



「(でも、そうだったら俺たち"普通"の生活送れるのかな…)」



だったらいいかもしれない。と思ったときに、隣の山本が「でもよ、」と口を開いた。



「マフィアっつーのがなかったら、小僧もツナんとこに来ないってことだろ?」
「そうなるね…」
「俺とリボーンが…?だったら、俺ダメツナのままだったかもしれないってことだ…」
「そ、そうだね…!で、でもダメツナでもツナはツナだよ!」
「そうっすよ!10代目!」
「(あー…(なんか嬉しくねえええ!)」
「それにさ、マフィアって関係があったから俺等がこうやって4人でいれるんじゃね?」
「どういう意味だよ、野球馬鹿」
「マフィアがあったから、俺等出会ったんだろ?」



そういえばそうだ。山本や獄寺くんと一緒にいるようになったのは、リボーンの死ぬ気弾のおかげだし、 なにより"ボンゴレ"というマフィアの守護者になったからこそだ。だって…。 他のみんなだって…。そう思うと、マフィアという存在には少し感謝しているかもしれない。 「だってよ、。それでもお前夢叶えてえのかよ」黙り込んでるに獄寺くんは言った。



「…やっぱ、訂正。あたしの夢はさ!」


みんなとずっと一緒にいれること!
そうが笑顔で言うと、獄寺くんは照れくさそうに「っは、いい夢じゃねえか」って。 山本も「一緒に叶えような!」って。俺は初めて、マフィアという存在にちょっと感謝した。