今日の授業は午前中だけだった。そしてタイミングよくメールが入る。 『今日授業何時までだ』って侘助さんから。私はすぐ『今終わった!』って送った。 すると1分も経たないうちに電話がかかってきた。



「俺も午前中で切り上げられた。メシ食いに行くか?」
「行く!」
「じゃあ待ってろ、迎えに行く」



ぷつん、と切れる。なんてタイミングがいいんだろう。午前中で終わらせてくれた先生に感謝する。 こういうことは私が大学生になった頃から続いている。侘助さんの職場と私の大学が近かったから 親戚同士ということもあってご飯を食べに行くようになったのだ。 だけどここで一つ言っておこう。付き合っている、というわけではない。



さんだ」



侘助さんを待つために門で一人立って待っていると名前を呼ばれた。 振り返ると同じ授業を取る事が多い佐藤くんだ(確か佐藤って名前だったはず) 彼もどうやら人待ちのようで来るまで話相手になってよと言われた。

しばらく話をしているとクラクションの音が聞こえた。 気付くとそれは侘助さんの車でこちらにゆっくりと近付いてきた。 スライドガラスを開けて顔をのぞかせ「」と私の名前を呼ぶ。



「電話出ろ」
「え、あっごめん」



マナーモードにしていたのに鞄の中に入れていたから全然気付かなかった。 どうやら侘助さんは電話を何度もしていたらしい。鞄から取り出すと侘助さんからの着信とメール。 迎えにきてもらってるのに悪いことしたな。



さんの彼氏?」



慌てて車に乗ろうとしたときに、佐藤くんに腕を掴まれそう聞かれた。 ここで「そうだよ」って答えたいところなのだが、付き合ってもいないので そう言えるわけもなく。違うよ、と否定しようとしたときに侘助さんがまだ顔をのぞかせた。



「俺のに手出すんじゃねえぞ」



ほら、早く乗れ、って侘助さんが私の腕を引っ張る。佐藤くんは腕を離して「なんだ、残念」って。 え?と佐藤くんに何か言おうとしたけど侘助さんが勢いよく車を発進させたのでそれは叶わなかった。 というかそれよりも、侘助さんは今。



「侘助さん、さっきのどういうこと?」



聞いても侘助さんはうんともすんとも言わずただ前を向いているだけ。 ねえ、ねえ、と服の袖を引っ張って何度もしつこく問うとやっと侘助さんはこちらを向く。



「ついカッとなって言っただけだろ」
「なにそれ、嫉妬?嫉妬?」
うるさい」
「ねーえ、侘助さーん」



また服の袖を引っ張ろうとしたら侘助さんが私の頭をぐいっと押した。 それから声を張って「嫉妬だよ、悪かったな」と投げやりのように言った。 驚いてきょとん、としていると少しだけ侘助さんは顔を赤くして言った。 「だからこっちみんな」って。ああ、なんてこの人は可愛いんだろう。







それってどういうこと