朝起きると、談話室の一角にはたくさんのプレゼントが置かれていた。 そして「おめでとう」という声。ああ、そうか今日は___とシリウスは思いながら階段を下りた。



「今日はの誕生日だね」



ソファに座ると、ジェームズがそう言いながらシリウスの隣に座った。 もちろん、シリウスは知っているし、プレゼントも用意してある。 ジェームズが「プレゼントとか用意してるの?」と問うとシリウスは 杖を一振りしてテーブルの上にプレゼントを出してみせた。



「へえ、用意してあるんだね」
「まあな」
「あえて中身は聞かないでおくよ」
「すぐにわかるさ」



時計を見ると朝食の時間になっていたので、シリウスは立ち上がった。 「プレゼントは渡さないのかい?」とジェームズが聞くが、シリウスは言った。 「今渡してもおもしろくないからな」その答えにジェームズは苦笑いした(中身が不安だなあ)



***



午後、シリウスは中庭のベンチに座っているを見つけた。 他に誰もいないし、チャンスだと思ったシリウスはのもとへ行きプレゼントを渡した。



、おめでとう」



は驚いた顔をしてシリウスとプレゼントを交互に見やった。 それもそうだ。シリウスはからあまりいい印象をもたれていない。 性格とか云々とかではなく、シリウスはに悪戯をするからだ。 だから、プレゼントももらえるとは思ってなかったらしく「これ私に?」と問うてきた。



「お前以外誰がいるんだよ。素直に受け取れ」



プレゼントを押し付けるとは「ありがとう」と言って受け取った。 嬉しそうにプレゼントを見るを見て、シリウスも自然と頬が緩む。 そしては早速「あけてもいい?」と言いながらリボンを解いた。 包みを広げて箱を開けた瞬間、パンッと小さな音が鳴った。



「…え、え、!?」



音が鳴った瞬間複数の蛙が箱の中から飛び出してきた。 は悲鳴をあげる。シリウスはニシシと笑う。が蛙が大の苦手だということを知っているのだ。



「シリウス!!やっぱり貴方ってひとは!!!」



ものすごい顔をしたがシリウスを睨む。シリウスはもう一度「おめでとう!」と言いながら から逃げた。すぐにも後を追いかけようとするが、蛙がぴょんぴょん跳ねて 身動きがとれない。ああ、もう最悪!とは叫ぶ。

それを遠くで見ていたジェームズがシリウスに声をかけた。「君って本当にひどいね」シリウスは むっとジェームズを見る。



「さらに嫌われちゃうよ?」
「心配ない。見てろ」



ニヤッと笑ってシリウスは杖を振った。




3秒後君が幸せでありますように



のまわりでぴょんぴょん跳ねていた蛙が ポンッと小さな音たてた。するとそこからぶわっと花が散らばる。そしてその花がまたお菓子へと なっての前でふわふわと飛んでいる。それを見た千尋は「うわあ!」と嬉しそうにしている。 シリウスはふふん、とジェームズの顔を見た。ジェームズは「まわりくどいことするね」とため息をついた。