授業中、わたしの目の前に紙で作られた鳥が飛んできた。 羽には黒インクで『へ』と書かれていた。送ってきたのはきっとあいつらだ。 ゆっくりと後ろを振り向くとにやにや笑ってるシリウスとジェームズ(…やっぱり) マクゴナガル先生がこちらを見ていないのを確認してこっそりとそれを 開けると黒インクでこう書かれていた。



『悪戯仲間にならないか?』



なに、これ。悪戯仲間にならないか、なんて誘いも意味がわからないけど、 もっと意味がわからないのは授業中にこうやってこそこそ手紙を出してまで言うことかしら? 書かれていた文をインクでかき消して、その下に 『結構!それにこんなくだらないこと授業中にやめて』と書いてシリウスたちのほうにまた飛ばした。



『真面目に生活するの疲れるだろ?たまに生き抜きとしてさ』
『貴方たちわかってる?真面目に生活するのが当たり前なの。特にシリウス!』
は真面目すぎるだろ。そんなこと言ってるが、俺のほうが成績いいんだぜ?』
『そうよ!どうして貴方は真面目じゃないのにわたしより成績がいいの!?よくわかんない!』
、君は頑張ってるよ!』



そう言ってて、ジェームズだってわたしより成績がいい。 紙はもう文章だらけになってるし、何度も広げて折っての繰り返しだったからぼろぼろになってる。 もう書くところもないし、こんなくだらないことやってないでわたしは授業に集中することにした。 けれどまた新しい紙で作られた鳥が飛んできた。彼らを睨むとへらへら笑って早く見ろと口パクで言ってくる。 仕方なくわたしは紙を広げる。



「え!?」



紙を広げた瞬間、ポンッと音を立てて煙が立ち上がった。 その煙は一気に部屋中に広がってまわりの生徒がざわざわと騒ぎ出す。 ハメたわね…!わたしは再び彼らを睨むと二人はひーひーと息を切らして笑ってる。 む、むかつくわ…!けれどジェームズがハッとしたようにわたしを見た (シリウスは相変わらずけらけら笑ってる)ジェームズは後ろ、後ろ! 口パクで訴えてきて振り返るとそこにはマクゴナガル先生が。



「ミス。これは貴方が?」
「いえ!わたしじゃなくて!」



シリウスたちです!なんて言おうとした、今度は紙から花火が出てきた。 その花火は上まで上がって大きな音を立てて広がった。 そして火花は飴に変わって次々と降ってきた。その一つ、先生の頭にポトリ、と落ちる。



「ミス…!貴方という人は…!」
「誤解です先生!!!!」



これはあいつらのハメたことで…!とシリウスとジェームズを指差すとそこには誰もいなかった。 あ、あれ!?さっきまでそこにいたのに!!! 先生は「誰です?ごまかすのはおやめなさい」と口調をきつくして言う。 と、そのとき。さっきまで後ろの席でひーひー笑ってたシリウスとジェームズが今は先生の 後ろにいるじゃないか!もしかして、と嫌な予感がして一歩下がると彼等は先生の両耳の前でパチン! と大きな花火を鳴らした(こいつら何やってんのー!!!?)



「貴方たち3人は!!こんなことしていいと思っているんですか!!!!」



とうとう先生がキレた。ていうか先生違うわ!わたし何もやってないもの!ハメられただけなのに…! 「先生…これはっ」と弁解しようとしたら、 先生の後ろにいたジェームズシリウスが彼女を横切って走ってきた。 そしてシリウスがわたしの手をとって引っ張った。



「えっ、シリウス!?」
「逃げるぞ!!!」



腕をつかまれたときはびっくりした。 けれどその後、シリウスが手を繋いで走り出したからもっとびっくりした。 気持ちを紛らわすために「どうしてわたしが巻き込まれてるの!?」って言うと彼は 「こういう風にお前と逃げてみたかったんだよ!」とわたしとシリウスが繋がれてる手を見せてニッと笑った。 ああ、もうやめて。わたしの心臓が持たないわ!








手を繋いで走り出す