ラーメン一楽で昼食をとっているときだった。突然、ナルトが嬉しそうに大声で「そういえばさ!」と 喋り始めた。その瞬間、サクラが「食べてる途中に喋らないの!!」と一発殴る。 ナルトは渋々また座ってラーメンを食べ始めた。そして綺麗に食べ終わるとまた大声で「あのさ!」と まぶしい笑顔で喋り始めた。



「シカマルとテマリって付き合ってるんだってばよ!?」



ピキッと割り箸が折れる音がした。もちろん、私だ。 ラーメンを口へ運ぼうとしていたその瞬間だった。だから麺もまた汁の中に戻される。 そして折れた箸の一部もぽちゃん、と汁の中に落ちた。


「…どういうこと?それ」



ナルトに視線を向けず、ラーメンを見つめながらぽつりと呟くと、彼は人の気も知らないで嬉しそうに話す。 どうやらテマリさんが木の葉に来ているらしく、ずっとシカマルと一緒にいるらしいのだ。 楽しそうにしているし、カップルに見えなくもないらしくナルトは付き合っていると思っているらしい。 (それが真実かどうかは、誰も知らない) そんな話をナルトから聞いているとサクラは心配そうに私の顔をちらちらと見る。



「でも似合ってるってばよ!テマリ美人だし!」



その瞬間、サクラが勢いよく「馬鹿!」と言いながらナルトの口を押さえた。 私は立ち上がった。彼らに何も言わず店を飛び出した。 ナルトに悪意がないのはもちろん、わかっている。だってナルトは私がシカマルのことを好き、だって知らない。 それに、まだ噂でしょう。ナルトの言い出しは合っていることが少ないし。



じゃねえか」



町を歩いていると声を掛けられた。この声は、シカマルだ。今一番会いたいような会いたくないような。 振り返る。どうか、その隣にテマリさんがいませんように、と願いながら。 だけど、かなわなかった。振り向いてそこにいたのはシカマルと、テマリさん(背が高くて美人さんだ) ああ、ナルトがあんなことを言ったのも無理ない。似合っている。私が言うのもなんだけど。



「シカマルじゃん。久しぶりー」
「そうだな」
「あ。そうだ。今から焼肉行かない?皆誘ってさ」



必死だった。とにかく、テマリさんには悪いけど彼女とシカマルが一緒に居て欲しくない。 いつもなら「いーぜ」って言ってくれるのに今日は違った。



「悪い。こいつ送ってかなきゃいけねえんだ」
「私は別にいいぞ。行ってくればいいじゃないか」
「この前も言ったろ。俺はお前の案内役だってな」



その後もちょっと言い合いをしている。それをぼーっと見ているとテマリさんが私を見る。 すまんな、私は一人で帰れるのに。と困った顔で笑った。



、また今度な。俺の奢りでいい」



シカマルはそう言って軽く手を挙げ、歩きだした。テマリさんも後を追って歩きだす。 私は手に力を込めた。悔しいのだ。テマリさんが悪いわけじゃない。シカマルも悪くない。 悪いのは私だ。どうみたってシカマルとテマリさんは何か用事があるから二人で歩いていたのだ。 そんな彼らに声をかけた私が悪いのだ。ちりっと痛みを感じて手のひらを見てみると、 強く握っていたせいか、爪がくいこんでいて血が出ていた。私は馬鹿だと思った。










必死だった