ちょうど1ヶ月前に20回目の誕生日を迎えた。 早く大人になりたくて、ようやく20歳になったって感じ。女の子ではなくて"女"になったのだ。 別に外見は変わってない。20歳になっただけ。気持ちがすっかり大人気分なだけ。 それでも、大人の仲間入りができて嬉しい…のだけれど。やっぱり、浮かれているのはあたしだけのよう。



「まだまだは子供だな!」



甲板で海を見ていると、隣にシャンクスが来た。昼間からお酒を飲んでいて頬がほんのり赤くなってる。 手には瓶酒。昼間からこの男は…とため息を一つつくと、シャンクスがお酒を差し出してきた。 この前降りた島で入手したという、普通のお酒よりアルコールが強い酒だった。 差し出すということは、飲めということなのだろう。 あたしはお酒をぐいっと飲むと、喉が熱くて思わずおえ、と咳をしてしまった。 そして言われたのが、"まだまだ子供"



「違うよ、それアルコール少し強いんだもん」
「けど、は普通の酒でも弱いだろ?」
「今から強くなる!」
「どうだかなァ」



ガハハ!と笑ってシャンクスはあたしの頭を撫でた。 まだこの人はあたしのことを"女"ではなくて"女の子"としてみている。 無理もない。シャンクスはあたしが小さい頃から面倒見てくれてる。 彼にとってまだまだあたしは子供なのだろう (戦闘経験も少ないし、お酒は弱いし、スタイルも良くないし、まだまだ幼い)



「シャンクスはさ、いつあたしを"女"としてみてくれる?」
「ん?お前は女だろ?」
「違うー。そういう意味じゃない」
「どういう意味だ」



ちらり、とシャンクスを見ると不思議そうな顔であたしを見ていた。 あーあ。今だけじゃなくってこれからもずっとシャンクスの目にあたしが映り続ければいいのにな。



「あたしが"女"になったら、シャンクスはあたしのこと愛してくれる?」



キスしてくれる?抱きしめてくれる?シャンクスにとってたった一人の女になれる? そう言うとシャンクスは、目を点にさせて持っていた酒瓶を甲板に落とした。 まだまだたくさんあったお酒は甲板に広がる。シャンクスは今どう思ってる?明日からあたしのこと、 意識してくれるかな?意識してくれたら、いいんだけど。 あたしはそのまま「じゃあ、」とだけ言って自分の部屋に戻った。







大人になりました