「ああ、もうほんとムカツク!」



甲板で一人、お酒を飲みながら海に向かってそう叫ぶと、後ろから「怖い女だよい」といわれて
振り向くと、そこにはマルコ隊長。



「隊長ー!聞いてくださいよーう」



さっきまでジョズとお酒をぐいぐい飲んでたせいか、ちょっとくらくらする。
そんな私に気づいてか、マルコ隊長は「とりあえず、座れ」とその場に私を座らせる。
(あ、お酒ちょっといいですか)(お前、今日何杯目だよい…控えめにしやがれ)



「さっき実のお父さんから電話がきたんですよ」



実のお父さんという言い方をするのは、もうこの白ひげ海賊団に入ってから親父だと思っているのは
白ひげだけだからである(まあ、実のお父さんにも感謝はしているけれど)
ずーっとどちらも連絡をしなかったし、何年も会っていないのに。急に先ほど電話をしてきたのだ。



「最初はまあ、ぎこちなかったですけど、久しぶり…みたいな感じで」



最初のほうは、生活はどうだとか聞いてきて。楽しいよとか言ってると、その後彼は言いにくそうに
"子供とかは…できんのか"
とか聞いてきた。いきなりなんだから!まだ彼氏とかいるなんて話もしていないのに。


「ちょっと…、何言ってんの」
『お前もいい歳してんだ、好きな奴くらいいるだろう』
「そりゃあ、いるけれど!いきなり子供とか!」
『そろそろ、孫がほしい頃なんだがなァ』
「ふざけたこと言わないで!」
『なんだ、好きな奴とはまだ結ばれてえんのか』
「な〜…!!!仕方ないでしょう!彼は私の隊長だし、格も違うし!」
『そんなの気にすることない。告白してみ!』
「そんな簡単に言うけどさ!」
『簡単なことだろう』
「ああ!えらそうに!もうきる!」




なんてことがあったんです、と酒をちまちま飲んでるマルコ隊長に言う。
すると彼はニヤリと笑って「ほう」と私を見てきた。



「の好きな奴は、隊長かァ」
「…え!?いや、違うです。言葉のあやというか、」
「目泳いでるよい」
「うっ…」
「は何番隊所属だったっけ?」
「…い、1番隊です…(わかってるくせにー!)」
「1番隊の隊長は?」
「マルコ隊長です…(自分でしょーが!)」



彼はふっと笑ってジョッキの酒を一気飲みした。
うああああああ。この沈黙は何ですか、マルコ隊長!こんなの耐えられないです。
もう、厨房に戻っていいですか…。



「マ、マルコ隊長、お酒なくなったみたいですから取ってきますね…」



とりあえず、ここから逃げ出したくてちょうどお酒もなくなったし取りに行こうとした。
マルコ隊長のと、私のジョッキを持って「あ、ついでにおつまみとか何がいいですか」
なんて聞こうと隊長を見て言おうとしたら、その言葉は途中で行き場を失った。
何が、のときに隊長がぼそりと言ったのだ。



「じゃあ、俺との子供を見せに行こうじゃねェかよい。」



ゴトリ、と持っていた2つのジョッキが手から滑り落ちて床に落ちた









プロポーズと受け取ってよろしいの?