エルヴィンからの課題をようやく終わらせたはふらふらと自室に向かっていた。 もう三日もろくに寝ていない。自室に戻るのは久しぶりだった。 シャワーを浴びたいところだがそれよりも眠いのではそのままベッドにダイブした。 目を閉じて深い眠りに入ろうとしたときにドアが静かに開いた音がする。 ノックもしないでこんな時間にやってくる人物は一人しかいない。は目を閉じたまま 「リヴァイでしょ」とか細い声で言った。その人物はふっと鼻で笑ってからベッドに腰をおろした。




「終わったんだってな」




の髪をさらさらと触りながらそう言う。 終わった、というのは課題のことだ。うん、と小さく返事をすると「そうか」とリヴァイは ベッドに潜り込んできた。




「リヴァイ、だめ。わたしシャワー浴びてないから汚い」
「別にいい」
「よく言うね。ハンジがシャワー浴びてないと汚いとか言って避けるくせに」
は別だ」




すっとリヴァイの手がお腹にくる。は慌ててその手を掴んだ。 しかしリヴァイはあきらめないようで、そのままくっついてきた。 髪をかきわけて、うなじにキスをしてくる。くすぐったくて身をよじらせていると 不意にうなじをぺろりと舐められ、は「ひゃ、あ」と可愛らしい声を漏らしてしまう。 リヴァイ、と少し強めに名前を呼んでから身体を向けると、それを狙っていたかのように すぐに唇を塞がれた。




「寂しかったなら会いにくればよかったのに」
「あんな汚ねぇ部屋に入れるか」
「(否定はしないんだ)ついさっきまでその汚い部屋にいたわたしを抱きしめたりキスしてるのは誰かしらね」




リヴァイに会うのも三日ぶりだった。 も会いに行かなかったし(行けなかった、のが正しい)、リヴァイも会いにこなかった。 きっとリヴァイは我慢していてくれたのだろう。の仕事を邪魔しないために。 仕事がつまっているときのはピリピリしているのでそれの八つ当たりをされたくない、 という理由もあると思うが。




「久しぶりにお湯はって贅沢しよっかな」
「今からか?」
「うん。やっぱり綺麗さっぱりしたい」




リヴァイも一緒に贅沢する?微笑みながらが聞くとリヴァイはそうする、と 言ってから立ち上がった。も続いて身体を起こそうとしたがリヴァイがそれを阻止した。




「俺がはってくる」




お前はそこにいろ、と言ってからリヴァイは奥の部屋に入っていった。 いつもは仏頂面で、怖いとか言われている彼だけど優しいところもある(たぶん、わたしだけに) きっとエレンあたりがこんなリヴァイの姿を見たら「別人ですか?」なんて驚くかもしれない。 そんなことを想像して一人でくすくす笑っているとリヴァイが戻ってきた。 遠くからはお湯を流している音が聞こえる。




「何か可笑しいことでもあったのか?」
「べつにー」
「おかしい奴だな。…すぐたまる。用意しとけ」




リヴァイは部屋のどこにタオルがあるか知っている。何度もここへ訪れているからだ。 大きなタオルを二枚手に持ってまたベッドまで来た。




「連れてって」




へとへと。そう言うとリヴァイはため息をつく。持て、とにタオルを預けて そのままを横抱きにした。えへへ、とはリヴァイの首に手をまわす。




「こんなのエレンあたりが見たらきっと驚くだろうね」




くすくす笑うが、リヴァイは舌打ちをするだけだった。





0時過ぎの幸福