「おかえり、



残業を終えて、へとへとで家に帰った。お腹空いたし、お風呂にも入りたい。 けれど眠気のほうがやばい。昨日も残業でろくに寝ていないのだ。だから、少しだけ。 お風呂に入る前に少しだけ仮眠をとろう。わたしは鞄を放り投げてソファに倒れこんだ。 すると、ふとおかしいことに気付く。自分は電気を点けていないのに、電気が点いている。 いや、違う。わたしが家に入る前から電気は点いていた。今朝…ちゃんと消してきたはず。 あれ、消してなかったっけ?ぐるぐる頭の中で考えていると、視線を感じた。 ちらりと横目で向かいのソファを見ると臨也がいるではないか。 そして彼は笑顔でわたしにそう言ったのであった。



「どうして臨也がいるの」
に会いたかったから、とか言ったら喜ぶ?」
「普段のわたしだったら心の中では喜んでたかもしれないわね」



どうして臨也がいるの、と聞いたのは遠まわしでどうやって家に入ったのという意味で聞いたのに彼は 答えなかった。けれどだいたい想像はつく。きっと合鍵でも作ったんだろう。 普段のわたしだったら怒るだろう。 そして臨也が言った会いたかったから、と聞いたらすごく心の中では喜ぶだろう。 けれどわたしは今すぐ寝たいのだ。わたしはぺらぺらと喋ってる臨也を無視して目を閉じた。 もうすぐ、もうすぐで夢の中へとおちる、そう思ったときに誰かがわたしの上に覆いかぶさった。 否、誰かではない。臨也だ。ゆっくりと目を開けるとニヤニヤした臨也の顔がすぐに飛び込んできた。



、ひどいよ。人がせっかく会いにきたのに寝るのはさあ」
「今、眠いの」
「俺は眠くない」
「じゃあ、臨也も一緒に寝よう」
「人の話聞いてた?俺は眠くないんだよ」



お願いだから臨也今は寝させて。ぎゅっと臨也に首を回して言うと彼はため息をついた。



「本当は、無理やりでも起こしてヤるつもりだったけど。気が変わったよ
「…?」



臨也にぎゅっと抱きしめられた。気付いたら臨也はわたしの隣。 たぶん、臨也も一緒に寝るんだな、と思った。 仕事はないの?って聞くとあるけど波江さんに任せるよ、と言った(波江さん、ごめんね) 、って名前を呼ばれてん?って少し上にある臨也の顔を見ると、珍しく触れるだけのキスをされた。



「おやすみ」
「うん、おやすみ、臨也」



仮眠、のつもりだったけど深い眠りについてしまった。起きたときにはもう9時だった。








おやすみ、マイハニー