「ちょお、一護あんたあたしのアップルジュースを…!」
「んだよ、一口くらいいいだろ!だって俺のオレンジジュース飲んだだろ!?」



気付いたら、あたしの目の前にあった紙パックのアップルジュースは一護の手の中にあった。 奪い取ろうとすると一護は腕を高く上げて「いいだろ」と意地悪く言う。 確かにあたしはさっき一護のオレンジジュース飲みました!



「けど、それは間違えたの!一護のとあたしのジュース同じ製品会社だから似てるのよ!見た目が!」
「わかるだろうが!俺のはオレンジでお前のは赤色してるだろ」
「パンを食べながらだったからわからなかったのよ!」
「俺は見たぜ。お前一瞬アップルジュース取りかけたけどやめてわざと俺の飲んだだろ」
「なによーう!見てたんなら最初から言えやー!」
「お前なあ、素直に一口欲しいって言えば…」
「一口欲しいな」
「今頃遅ぇよ、バーカ」



一護はアップルジュースを最後まで飲んだ。あああ!あたしのアップルジュース!!! 一護の手からやっと奪えたと思ったらもう空だった。 一護を睨むと彼はにやり、と笑った。(む、むかつく!) 反撃してやろうと思って一護の後ろに隠れていたオレンジジュースを奪い取る。 けれど、それも空だった。



「うわーん最悪!これじゃ、口の中パサパサになる…」
「昼にメロンパンなんか食べるからだろ」
「焼きそばパン食べてる一護に言われたくないね」



またぎゃあぎゃあ言い合いが始まる。 その光景を見てまわりの啓吾やチャドはまたか、とあきれていつものようにご飯は食べ始める。 その中の一人、水色はあたしたちを見てふとこんなこと言い出した。



「間接キスだね」



ぴたり、と言い合いがとまる。かあっと顔が熱くなった。 別に普段はそんなこと気にしないのに。 なんだか水色に「間接キス」なんてはっきり言われるとなんだか恥ずかしくなった。 一護もちょっと頬を赤くしてあたしから目を逸らす。 啓吾がふざけて「なにお前ら、今更意識して」そう言ってぷぷっと笑う。 あたしはそんな啓吾に「う、うるさい!」そう言って立ち上がる。



「新しいジュース買ってくる!!!!」



とにかく恥ずかしくてこの場から逃げたくてあたしはズガズガと屋上から出て行った。 屋上のドアを閉めるとき一護が「待てよ!」って言ってたけど、無視しよう。 ああ、なんだか心臓がうるさい。今更、何意識してんだか…。一護のバーカ。








オレンジジュース