「黒崎くんってさ」
「ん?」
「コスプレとか好きなの?」



そうに言われて俺はぶっと飲んでいたオレンジジュースを吹き出した。 「汚…」とかひどいことを言いながらもはポケットからハンカチを取り出して俺に差し出してきた。 ありがたくハンカチを受け取って口を拭いているとまた再びは「で、どうなの?」と聞いてくる。



「意味わかんねぇよ。なにを見てそう思ったんだよ」
「いや、だってあんな街中であのような格好は、ねえ…」
「はあ?」



街中でコスプレなんてするわけがない。 だってアレだろ?コスプレってのは、ネコ耳とかそういうの付けてるやつだろ? (あれ、それはメイドか?)けど可能性はあるかもしれない(いや、俺じゃなくって)コンのやつだ。 俺が知らない間に何かしでかしたのかもしれねえ。この前は、俺の姿でエロ本読んでたんだよ。(コンビニで堂堂とな)



「でも、手に持ってた刀?はやけにリアルだった。あれ本物?」
「…刀!?」
「うんうん。それで、黒い着物みたいなの着てさ!あれ何のコスプレ?アニメ?」
「…」



たらり、と冷や汗が落ちる。刀って言えば斬魄刀のことだ。黒い着物ってのは死覇装だ。 きっとは俺が死神になったときの姿のことを言ってるんだ(嘘だろ…こいつ霊感あるのかよ…) いや、でもルキアは言っていた。 いくら霊感が強くても死神の姿はよっぽどのことがない限り見えない、と。 じゃあ、はとんでもない奴なのか?



「いや、えーっと…」
「でも意外。黒崎くんってコスプレとか好きだったんだね」
「ち、違ぇよ!好きじゃねえ!ていうか、コスプレじゃねえから」
「え、そうなの?じゃあ何?」



じゃあ、何。と聞かれても困る。どう答えればいいんだ…? もうここは素直にコスプレとか言っておくか?(いや、それは俺のイメージが崩れるからやめたい) どう答えようか頭の中で考えているとそこへルキアがやってきた。



「彼は神社の手伝いをしていたらしいですわ!」
「え!?そうなの!?」
「は!?…あ、そ、そうだぜ!」



ルキアは話を聞いていたのか。さりげなくフォローしてくれて助かった。 けどそこでまた木陰が「え、じゃあ刀は?」と問う。 ああ、刀…。ルキアをちらりと見ると任せてくれという顔をしていた。



「彼が持っていた刀は客の刀だったんですの。御払いして主に届けに行ってたんですわ〜!」
「ああ!なるほど!だからか!」
「(が天然でよかった…)」



水色やたつきだったら、疑ってただろうな。死神の姿を見られてたのがでよかった、とふと思った。 これからは気をつけよう。 そう決心して残りのオレンジジュースを飲んだときにが小さな声で 「でも黒崎くんかっこよかったよ」と照れながら言ってきて俺は またオレンジジュースを吹き出してしまった。







用心しましょう