「雲雀さん、おはようございます!」



勢いよく応接室のドアを開けて入れば、ソファに座っている雲雀さんがひとつあくびをしてから 「君、入るときにはノックをしてからって親から教わっていないの?」と言われた。 だって、雲雀さんにすぐ会いたくて!と声を張り上げて言えば、彼ははあ、とため息をついてコーヒーを 一口飲んだ。



「朝からテンションすごいね。今僕は静かにしたい気分なんだ」
「じゃあ、静かにしておきますね」



雲雀さんと向き合う形でソファに座ると、雲雀さんはまたため息をついた。



「君はわかっていない。言ったよね?僕は静かにしたい気分だって」
「はい、ですから大人しくしてますね」
「そういう意味じゃない」
「どういう意味ですか」
「この部屋から出て行ってって言ってるんだよ」
「嫌です」



きっぱりとお断りすると、雲雀さんは「噛み殺すよ」とお決まりの言葉を言ってトンファーを出してきた。 そのときにどこからかブー、ブーと携帯のバイブが聞こえてきた。 一瞬、誰のだろうと思ったけれど自分の制服のポケットからバイブの音が聞こえてくるので、あ、 あたしだ☆と思って携帯を取り出した。目の前にいる雲雀さんは構えながら眉をぴくりと動かす。



「もしもし?」



相手は獄寺くんだった。どこにいるんだ、と聞いてきた。 そういえば、今日は獄寺くんと朝掃除だったんだっけ。すっかり忘れてた。



「えーっと、今応接室なんだけど…」
。この前も言ったはずだよ。学校は携帯電話持ち込み禁止だって」
「あ、やば。(目の前に雲雀さんがいることすっかり忘れてた…!)」



今すぐ、没収。雲雀さんはトンファーを振り下ろした。 あたしはすぐに避けて応接室から飛び出す。だけど雲雀さんはあきらめていないようで、 あたしが閉じた扉をトンファーで打ち破って追いかけてきた。当然、ドアの前に立って見張りをしていた 草壁さんは驚いて「委員長…それにさん!?」と雲雀さんとあたしを見る。 そんな彼に「草壁さん、おはよう!」と言う。もちろん、逃げながら。



『もしかして、またお前雲雀のやつと…』
「うん、おいかけっこ。でも今日は違うよ!今からそっち向かうから!朝掃除はサボっちゃだめだもんね!」
『はあ!?来るな!お前来るっていうことは雲雀もだろ?掃除どころか教室ぶっ壊れる!』
「もう目的地に向かってまーす!」
『てめっ…!』
「そこで、獄寺くんにお願いがあります!あと10秒で目的地につくからダイナマイト用意しておいて!」
『はあ!?何言ってやがる!』
「ほら。じゅー、きゅー、はーち…」



すると受話器の向こうからジリっとダイナマイトに火をつける音が聞こえた。 あたしはそれを聞いてにやりと笑う。そして角を曲がって教室に入り獄寺くんの後ろへ隠れた。 そして雲雀さんが入ってきたのを確認して「はい投げて!」と獄寺くんを後ろから押して言う。 バランスを崩した獄寺くんはそのままダイナマイトを手放してドッカーン。 そしてその煙の中から雲雀さんが出てきて獄寺くんと対決!



「ああ、今日も戦う雲雀さんはかっこいい…」



教卓の上に座って、雲雀さんと獄寺くんの戦いをうっとりと見ていると 「アホか!てめぇのせいで雲雀と朝から…!」と怒られるけど、よそ見をしていたせいで雲雀さんに ほっぺをトンファーでたたかれ「うえっ!」とひょろつく。だけどそれでスイッチが入ったのか、 ダイナマイトを取り出してまた再び戦闘へ。そこで雲雀さん!かっこいい!大好き!と言えば、 雲雀さんがちらりとあたしを見て「うるさいよ」と一言。







※毎朝の日常です