「なあ、」
「なに」
「なんでが俺の部屋にいるんだ?」
「いいじゃない」



急に雨が降ってきて、甲板にいたあたしは急いで中に入った。冬島に近づいているせいか、 少し肌寒かったのが雨で濡れて、震えるほど寒かったので、甲板から近いエースの部屋にお邪魔した。 だって、あたしの部屋は一番端にあるし、こんな濡れた格好で入りたくないんだもん。



「風呂場行けばいいだろ…」
「今むさい男がたくさんいるじゃん」
「お前ならいけるって」
「冗談やめてよ。それとも何?あたしが女の子らしくないってか!」



「まあ、中身はちょっと…」と答えるエースに枕を投げてやった。 付き合ってる女にそれはないでしょうが!



「それよりベッドから降りろ…」
「なんで」
「どうでもいいだろ」
「いいじゃん」
「だめだろ」
「なにが」
「いや…」



困ったような顔をしてエースはあたしから目を逸らす。ベッドに座るくらいいいでしょう? エースの部屋汚いから床は座るところないし…。なんて言うと、エースは「じゃあ、片付けるからよ」と 言って床にちらばってる服やらをまとめ始めた。部屋の端にどんっと積み上げてほらよ、と言う。 未だに視線は合わしてくれず。



「なんで視線合わさないの」
「いいだろ」
「どうして1歩近づくと1歩遠ざかるの」
「いいだろ」
「…なんかあたし邪魔みたいだし。やっぱ出てく」
「おう。悪ィな…。風邪ひくなよ」



心配するなら、いさせてくれたっていいのに。出ていくときに「マルコのところにでも行こうかな」なんて 呟いたら、急に腕が引っ張られた。あたしはまたベッドに戻される。なんだっていうの。 エースを見ればさっきとは違ってじっとあたしを見ていた。



「ど、どうしたの」
「マルコのところは行くな」
「はあ?どうして」
「危険だからだ!」
「意味わかんないよ、なんなの。じゃあ、あたしはどこへ行けばいいの」
「素直に自分の部屋へ」
「嫌。寒い」
「お前なァー…!」



はあ、とため息をつくエース。ここにいたらダメなの? どうしてマルコは危険なのかはわからないけれど、 あたしにとってエースのところは安全だと思うけど(安心するから) そういうとエースはまため息をつく。



は俺を試してるのか?」



ぎゅっとあたしの腕を握る手の力が強くなったと思ったら、ベッドに押し倒された。 何は起こったかわけわからなくて、視線を泳がせてるとエースが「、」とまたあたしの名前を呼ぶ。



「俺は男だ」
「わ、わかってるよ?それよりエース、腕…」
「ずぶ濡れで、服も透けてる。いつもより色気が増してる。好きな女が男の部屋に入ったらどうなるかわかってるか?」
「えぇ?」
「誰だって欲情するだろ?」
「なっ…!ひゃ、あ」



エースがあたしの首に顔埋めた。ちくり、と首に小さなキスマークをつけられる。 俺だって、最初は我慢してたんだぜ。昼間だし。お前見ないようにしたし。ここまで我慢できただけでも 偉いと思うぜ。だけどお前がマルコんとこ行くとか言いだしたからこんなことになったんだろ。とエースは 口を尖らせて言う。



「ちょ、ちょっと待って!あたしが悪かったって!エース気を確かに!」
「無理」
「確かにさ、無神経なことしたよ!でも服が透けていたのは気づかなくってー…」
「それでお前はマルコの部屋に行こうとした」
「あー…で、でも流石に人の女には手出さないよ」
「わかんねェじゃねェかー…」



エースは手をあたしの服の中に入れた。これはやばい。もうエースはすっかりヤる気満々である。 こんな昼間っぱらから無理に決まってる。なんとか止めようと、体をじたばたするけれどちっとも動かない。 やはり男の力には勝てない(少しは強くなったと思ったんだけどな)



、俺もう無理だ。我慢できねェ」



気付いたら、外から聞こえてた激しい雨音はなくなって船員たちが甲板へ戻っていく足音と、 話し声が聞こえた。