「こんなところまでのぼってきたの?」



なかなか眠れなくて、外の空気を吸いに見張り台まで上ってぼーっとしてると、 わたしのそばに電電虫がのぼってきた。用事がある以外、この子は動くことはないから「どうしたの?」 なんて聞けば電電虫は口を開いた。



か?」



その声を聞いてびっくりする。今の声はエースじゃないか。 2週間前に「少し出かける」と言ってこの白ひげ団の船から降りていった、あのエースだ。 電電虫をそっと手のひらに乗せてわたしも喋ってみる。(実は初めて使うの)



「エース?」
「すげえ、繋がった!お前すげェな!電電虫!」



電電虫がエースを真似して表情を作る。 ニッと笑うエースの顔が頭の中に浮かぶ。 おかしくてクスクス笑ってると、エースの真似してる電電虫が不愉快な顔をする。



「何がおかしいんだ?」
「ううん、なんでもない。それより、エースどこにいるの?」
「それは言えねェな。けど、もうすぐで帰る」
「じゃあ、何してたの?」
「お届け物だ!」
「お届けもの?ふふ、何それ。郵便屋さんみたい」
「おう!今は郵便屋エースと呼んでくれ」
「あはは!じゃあ、郵便屋エースさん、わたしにお届け物を頼んでいいかしら?」
「ん?」
「エースをわたしに届けて欲しいんだけど」



そう言うと、エース(正確には電電虫だけど)は「なっ、」と言葉をつまらせて顔を赤くする。 だって、エース?わたしたち2週間も会ってないんだから。 寂しいに決まってるでしょう?早く帰ってきてほしいの。そう言うとエースは笑った。 早くその笑顔が、見たいなあ。



「明日には届けるように頑張ってみる。期待して待ってろよ、
「ほんと?すっごい楽しみ。お届け物だからちゃんとリボンも忘れずにね」
「任せろ」



またニッと笑った。明日は私に宛てにリボン付きのエースが届く。 きっとマルコやサッチが馬鹿にするだろうなあ。でも、みんな待ってるよ、エースのこと。








電話越しのきみに