「…街から帰ってきてからが機嫌悪いんだよい」



久しぶりに島へ上陸して街で腹いっぱい肉を食ったあと、船に戻ると船で一番高い見張り台の上でがじーっと街のほうを見ていた。 あきらかに不機嫌だ。島へ上陸したときはすんげェ元気だったのに。 「何があったんだ?」とマルコに聞けば、街へ帰ってから元気がないらしいな。







俺も見張り台にのぼって名前を呼べば、はぴくりと体を動かしたが、ふいっとそっぽを向いた。 え?もしかして不機嫌な理由は俺か?…俺何かしたっけ。やべェ、何やったっけ。覚えてねェ…!



「いや、。俺が何したかは覚えてねェが、俺が原因だったら…悪ィな」
「…は?何言ってんの、エース」
「は?それはこっちのセリフだぜ…。てっきり俺が何かしたかと思っただろ…」
「違うよ」



とりあえず、が機嫌が悪いのは俺じゃないというのに安心した。 この前、俺のせいで不機嫌になったはすごかったからなァ…。 もうあんなの二度と味わいたくねェ。あのマルコやサッチも適わないほど、は怖かった。 あれだ、女の怖さだ。俺は初めてそのとき、ほんとは男より女のほうが強いんじゃねェか、って思った。 (マジだぜ?)もう、思い出したくもねェ。あんな怖い



「じゃあ、機嫌直せよ」
「機嫌悪くないもん」
「あきらかに悪いだろ」
「……エースはさ」
「ん?」



の視線の先を俺も見てみると、そこには街の女がたくさんいた。 俺にはわからねェが、今流行りっつーのか?ワンピースとか、スカートとか…。 髪もくるくるにしたりとか。ここの島の街の奴らは、結構おしゃれだった気がする。 (俺は興味ねェから、あんまり見なかったけど)



「エースは、あんなおしゃれで可愛い女の子たちのほうがいい?」



…ほー。わかった。こいつは、自分がおしゃれじゃないことで機嫌が悪いんだ。 もちろん、は一緒に旅する白ひげ団の一員だ。島に降りることも滅多にねェし、服とかも買わねェ。 流行もわかっていねェ。でも、この前こいつは言ってた。「海賊にそんなのいらない」と。 けど、なんだかんだ言ってやっぱこいつも女だ。やっぱおしゃれとかそういうの気にしてんだな。



「俺ァ、あんなのは興味ねェな。変な香水の匂いも大嫌いだ」
「ほんとう?」
「おう!俺は元気で海の匂いがするが好きだぜ!」



ニッと笑ってそう言ったら、やっとが俺と視線を合わせてくれた。 思いっきりを抱きしめたら、シャンプーの匂いと、海の匂いがした。 俺はこの匂いが好きだ。あとでともう一度街へ行って、満足するまで服を買ってやろうかな。









おしゃれじゃない女の子はどうですか?