![]() 彼のマンションはとても大きくて綺麗なところだった。 家賃もそこそこ高いだろうな、なんて思いながらエレベーターに乗ると 涼太は十階のボタンを押した。十階って最上階じゃん…。 「ここッスよ〜」 お邪魔します、と入ってみれば流石だなと思えるくらいの広さだった。 まず、入って短い廊下があることがすごい。私のアパートは入ってすぐに部屋あったから。 奥へ入ってみると広いリビングがあった。殺風景で生活感があまりない。 正直な感想を述べると彼は笑って「リビングはあんまり使わないッスよ。部屋なら生活感あるけど?」 と言って涼太は一つのドアを開けた。 するとそこにはベッドやパソコンや、バスケ選手のポスターなどが貼られていた。 机の上には帝光時代や、海常時代の写真が飾ってある。ユニフォームも飾ってあって 涼太らしいな、と思った。 「ちゃんと食事とってる?」 リビングに戻って冷蔵庫の中を見てみると、飲み物やお菓子しか入っていない。 そう問うと涼太は苦笑いをした。彼はなんでもできるが料理だけはできない。 いつも外食や、仕事でもらえるお弁当を食べているらしい。大学もお昼は学食を利用しているらしい。 ちゃんと食事とらないとダメだよ、って注意してるでしょって言うと涼太は笑った。 「これからはが作ってくれるんでしょ?」 私は「仕方ないなあ!」と彼に言った。ここで、自分の家から料理器具を持ってきてよかったな、と思った。 大学へ行っていても、朝と夜の食事くらいは用意できる。 彼の家へお邪魔しているので、料理くらいはちゃんとしたい。 涼太が私が持ってきた料理器具を並べてくれている間、私はもう一つある部屋のドアを開けた。 するとそこには服や靴、雑誌などが置いてあった。 流石モデルだな、なんて思う。そして棚から一冊雑誌を取り出して見ていると、 流行の服を着ている涼太が写っているページがあった。 「かっこいいなー」と思わず口に出すと後ろからぎゅ、と涼太が抱きしめてきた。 「かっこいい?」 「うん。かっこいい」 正直に言うと涼太はニイッと笑った(この笑顔好き) この笑顔が見れるのは彼女の特権だと思う。 「も服とかはここに置いてくれればいいッスから」 「そうだね。じゃあ、寝るところは?ベッドある、って言ってたよね?」 「うん。俺の部屋に」 「…え?」 引っ越すとき、ベッドも持って行こうと思っていたけど涼太はベッドはあるから大丈夫と言っていた。 だから私もそれを信じてベッドは実家に戻して、ここには着替えと必要最低限のものしか持ってきていない。 アパートは契約解除してきたので、あとは実家に戻した。 けれど、先ほどから見る限りベッドは涼太の部屋にあった涼太のベッドしかなかった。 涼太の部屋にベッド二つはなかったよね? 「俺のベッド、ダブルなんスよ」 「…ちょっと待って。それってつまり、」 「一緒に寝るってことッス」 にこっと笑った。悪意は感じれらない。俺は正しいことを言っている、という顔だった。 「いやいやいや!おかしいでしょ!私てっきり部屋は別だと!」 「俺達付き合ってるんスよ?いいじゃないッスか」 「いい!恥ずかしい!私この部屋でいいから!」 「ここ俺の家ッス。主導権は俺のもの!」 「ひどい!詐欺だ!」 「アパート契約解除したから後戻りはできないッスよー」 ぎろり、と睨むと彼は「さ!後の荷物片付けてしまうッスよ」とリビングに戻っていってしまった。 私は彼の後を追いかけて「馬鹿!」と言ってやった。 けれど彼は気にすることなくダンボールのガムテープを外す。そして中身を見ると「あ」と声を出す。 なに?と私もダンボールの中身を見てみると、それは下着だった。 慌てて涼太からダンボールを奪って「勝手にあけないの!」とどなる。 それから二人で協力して荷物を片付けていると涼太が私のほうを向いた。 「毎日夜が楽しみッスね」 私はもう一度彼に「馬鹿!」と言った。 TOP |