![]() 「やあ、!」 「ポッター…」 リーマスが図書館から出て行って、少し安心した。 けれどそのあとすぐにポッターが来たのだ。ポッターは先程までリーマスが座っていた席に座る。 リーマスに居場所を聞いたの?と聞くと彼は「違うよ。地図さ!」と言った。 言っている意味がわからなかったのでその話は「ああ、そう」とだけ言ってスルーすることにする。 「この間も思ったんだけど、名前で呼ぶのやめてよ」 「どうしてさ?友人として名前で呼び合うのは当然のことだろう?」 「だからその、友人とやらにわたしたちはいつなったの?」 「この前も言ったけど、リリーの友人は僕の…」 「もういいわ。ええ、そうね。リリーの友人は僕の友人ね」 「つまり名前で呼んでいいってことだね?じゃあ、僕のこともジェームズでいいよ」 「遠慮するね」 「遠慮する必要ないだろう!リーマスのことも名前で呼んでるじゃないか!」 目を見開いてポッターを見ると彼はにこにこしていた。それからなんて言ったと思う? 「僕はとリーマスが仲良いの知ってるよ」なんて言ったの。 リーマスが彼等と一緒にいるときはそこまで会話も挨拶もしていなかったし、 名前も呼ばなかったから気付いてないと思ったんだけどな (こういうことがあるのがめんどくさいから避けてたのに) はあ、とため息をついたらポッターは「だから僕のこともジェームズって」そう言った。 もうこれ以上やりあうのは無駄だと思ったわたしはこれからジェームズと呼ぶことにした(情けない…) 「まあ、前から少しはあったんだけど。昨日の悪戯で僕は君に興味を持った!」 「それはどうもありがとう…」 「あのシリウスに悪戯するなんていい度胸だね!」 「今は後悔してるわ」 「最高だったよ!笑えた!」 「そう?」 「本当に君、予想以上におもしろい!見た目とのギャップがすごいね!意外と馬鹿だったんだね!」 「それは褒めているの!?馬鹿ってなによ!」 「褒めているのさ!いいことさ!」 「(もう嫌、この人…!)」 もう彼に付き合うのがめんどくさくなってきたから図書室を出ることにした。 けれど彼はぺらぺらと喋りながらわたしについて来た。 わたしたちの横を通り過ぎる生徒は不思議そうにわたしたちを見る。 悪戯組に会わないよう図書室に行ったのに、これじゃ逆ではないか。 けれどブラックに会わないだけは感謝。 「ブラックは今どこ?」 「ああ、心配ないさ。彼は今シルクのところにいる」 「(今の彼女ね)そう」 ブラックがころころ彼女を変えるのは知ってる。噂で嫌でも耳に入ってくる。シルクって子は知ってる。 レイブンクローで美人って言われてる一人だ(けれど彼女はブラックよりも年上である) ということは、談話室にはいないってことになる。どこか別の場所にいるのだろう。 安心してわたしは談話室に行こうかしら。 「思ったんだけどさあ」 「なに?」 「ちょっと考えればわかることだけど、僕等に会いたくないなら寮にいるのが一番いいと思うけど」 しっかり者に見えて実は違ったんだね、とけらけら笑う。むかつくけどジェームズの言うとおりだ。 休日に寮にずっといるのは禁止なんて校則はない。女子寮だったら男子は入れないし一番安全だ。 なのにわざわざわたしは図書室なんかに行ってしまったのだ。 「精一杯で頭が回らなかったの。今から行くわよ!」 「せっかくだから談話室でお茶しないかい?もう僕等に会ったんだし」 「ジェームズ!わたしそんなのんびりしてる場合じゃないの。ブラックに会ったら大変でしょ!」 「大丈夫さ!シリウスは今頃シルクとどこかでイチャついてるよ。ほら、あんな風に…あ」 急にジェームズが立ち止まる。少し先を歩いていたわたしも無意識に立ち止まってしまった。 「どうしたの?」と問うとジェームズは「前」と言ってくる。前?わたしは前向いた。 すると少し先にいる2人のうち1人と目がばちり、と合った。 その瞬間、体が氷のように固まって冷や汗が出てきた。 そう、その先にいたのはブラックとシルクで、目が合ったのはブラックの方だった。 「ジェームズ、ど、どういうことなの。貴方大丈夫って」 「いや、こんなところにいるとは思わなくって」 「み、見てる!わたしを見てる!どうしよう!」 「そのまま知らないふりして通ればいいさ」 「簡単に言わないで!絶対あれは声をかけてくるわ」 「じゃあ、僕に任せて」 ジェームズはにやり、と笑った。その瞬間手首をぐいっと掴まれて彼はわたしを引っ張りながら走った。 いきなりのことで思わず「ぐえ」と変な声を出してしまった(恥ずかしい!) そしてあっという間に彼等を通り過ぎてわたしたちは談話室まで来た。 彼等の横を通り過ぎるとき、またブラックと目が合ったし、 何か言っていたような気がしたのは気のせいだと思いたい。 「感謝はするけどいきなりでびっくりした!他に方法なかったの?」 「シリウスの反応が見てみたくてあの方法にしたんだ」 「反応?」 「ああ、君は気にしなくていいよ(夜が楽しみだなあ)」 なんだか今日はジェームズに振り回された気がする。まだ午前中なのに疲れた。 もう寮に戻って少し寝ようかな。ブラックとはもう会わないだろうし(油断は禁物だけど) 何か想像してにやにやしてるジェームズを置いてわたしは寮に戻ることにした。 寮に入るとき「お茶しないのかーい?」なんてジェームズが言っていたけど、 答える気力もなくてわたしは彼を無視して寮に入った。 05.Run to a lounge 談話室まで走れ! TOP |