「へっくし」



寮に一度戻って着替えを済ませてからリリーと大広間に向かう途中、小さなくしゃみが出た。 誰かわたしの噂してるのかな、って隣にいるリリーに言うと「そんなわけないでしょう」と また頭を軽くたたかれた(最近わたしに対するリリーの扱いが、 ジェームズ・ポッターと同じ様になってきた気がする)



「最悪だわ」



大広間に着いた瞬間、顔をゆがめてリリーは呟いた。視線の先を見てみると、 ポッター率いる悪戯3人組だ(ただ、ブラックだけいない)わたしが着替えていたせいで、 いつもより昼食が遅れた。だから、場所がないのだ。ジェームズとリーマスの隣以外。 つまりリリーとわたしは隣同士ではなく、向かい合わせで(しかもポッターの隣か、リーマスの隣で) 座ることになる。平々凡々な生活を望むわたしとリリーにとってそれは最悪なこと (ただ、リーマスの隣は最悪だとかは思わない)



「…ここは空気を読んで、わたしはポッターの隣に座ったほうがいい?」
「お願いしていいかしら…」



いいよ、そう告げてわたしはポッターの隣に座った。 リリーが最近、ポッターが苦手なのを知っている。 そしてポッターはリリーのことが好きで結構話しかけてくるようになったのを知っている。 だからわたしはポッターの隣に座ったのである。 するとポッターは「そう来るだろうと思ったよ!」とわたしを見て言った。



「リリーじゃなくて悪かったわね」
「別に君が隣に来たことを嫌と言っているわけじゃないさ」
「そう聞こえたんだけど…」
「リリーが来て欲しかったのは事実さ。けれど、君が来るのも大歓迎だよ!」



リリーの友人は僕の友人でもあるしね!そう言ったポッターに思わず「はあ?」と聞き返してしまった。 向かいの席に座ってるリリーも驚いたようで持っていたスプーンをカチャン、と下に落とした。 リーマスは相変わらずにこにこしてて、ペティグリューは苦笑いをしている。 ついに先程から黙っていたリリーが「いつが貴方と友人になったのかしら」と言った。 そこからポッターとリリーの言い合いが続く(大人しくわたしは昼食をとることにした)



「だったら、を悪戯に巻き込まないでほしいわ!」



バンッとリリーが机をたたいた。ポッターはきょとん、という顔をする。 それからああ、と何かに納得したような素振りを見せてからポッターはパンのかけらを頬張りながら 「一つ言っておくよ、」と言った。



「僕等は確かに悪戯をしてるけど、目的以外の人を巻き込むことはしないよ。まあ、たまに事故であるけれど」
「(どの口がそれを言うか!)でもわたし、最近毎回のように巻き込まれてるんだけれど」
は巻き込まれてるんじゃないさ。悪戯をされてるんだよ」
「だったら、もう一度言うわ。に悪戯をしないで」 「それは僕等じゃないよ」



じゃあ、誰が、と聞こうとしたらリーマスが「シリウスだよ」と答えた。 …シリウス?あのシリウス・ブラックが? けれど、わたしそんなに接点ないし、彼が気に入らないこともしていない(と思う) そもそも彼はわたしのことを知っているのだろうか。疑問を抱いていると、リリーが立ち上がった。 「くだらないわ。、先に行ってるわ」と言い残して彼女は大広間から出て行ってしまった。 ポッターは少し残念そうにしたが、けれどこれで少し気を楽にして話せるよ、とへらへら笑った。



「シリウスが君に小さな悪戯をするようになったのは僕がリリーのことを意識し始めてから」



ポッターはリリーを意識し始めるようになってからはずっとリリーのことを友人たち (つまりポッター以外の悪戯3人)に話し、彼女が現れるとずっと目で追っていた。 そこで知ったのがリリーと一緒にいたわたしだったという。 そこからブラックが悪戯をしているときにわたしを見つけると、 おまけのようにわたしに悪戯をしているのだという。



「わたし何もした覚えがないけれど…」
「僕たちもずっと一緒にいるけれど、彼の考えてることはわからないんだ」



けれどスニベルスみたいに嫌い、とかそういうのじゃないと思うよ。 とポッターが言ってくれたので、少しホッとした。だって、あのブラックに嫌われたらどうなるか、 なんて考えただけでゾッとする(逆、も困るのだが)



「けれど最近やるすぎだとは僕も思うから。僕から少し注意しておくよ」



リーマスがそう言ったので、ありがたくそうさせてもらうことにした。 でも、そんなことでやめるブラックではないと彼等が一番知っているだろう。 むしろ、それでひどくならないといいけど。 わたしは最後のかぼちゃスープを飲み終えてリーマスに「じゃあ、お願い」とだけ 言い残して大広間を出た。








02.Addition mischief おまけ悪戯





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