認めてへんからな!





「ユウくんいい加減にしないとアタシ怒るわよ?」 試合形式の練習を終えて、ドリンクを飲み干したあとに ダブルスパートナーである小春が一氏にそう言った。 一氏はわけわからず、「何のことや?」そう聞いた。 「ちゃんのことよ」 「がどないしたん」 「そろそろ仲良うなったらどうなのって話よ」 「いくら小春の頼みでもそれはできへんで」 だって、は俺の永遠のライバルなんや!そう最後に付け加えて一氏は言った。 そんな意味がわからない言葉にイラッときた小春は、1発思いっきり一氏を殴った。 「いでっ!小春ぅ〜、何しでかすんやあ〜…」 「アタシ、ちゃんと仲良くせんユウくんなんて嫌いよ!」 「!こ、小春〜…!」 「仲良くなるまでアタシに話かけないでっ!」 そう言って小春は一人でコートに入っていった。 慌てて小春を追おうとして一氏は足を一歩踏み出すが、ちょうど転がってきたひとつの テニスボールの上に足を乗せて転んでしまった。 ★★★ ドリンクも作り終えて1人部室でのんびりしていたら、 外から「うわあ!」って声がした。 あれは一氏くんの声だ。何したんだろう…なんて考えていると、 部室のドアが勢いよく開いた。 「救急ば………」 入ってきたのは一氏くんだった。 あたしを見たとたんに嫌そうな顔。うわあ、ムカつく。 てゆーか、この人今『救急箱』って言おうとしたよね? 「救急箱なら、そこに___ってうわあ!」 「な、なんやあ!?!?」 「そ、その怪我どうしたの!?」 一氏くんの右腕は血だらけだった。(ものすごく痛そう) てゆーか、だからさっき「うわあ!」なんて叫んだのか。 でも何で肘?だって転んだっぽいよねえ?(ユニフォームには土付いてるし) 転んで肘怪我するかな…。ま、いいけどさ。 「消毒しないとね。やるよ…」 「いらん。自分でやる」 「いや!無理っしょ!」 「無理やあらへん!」 「無理でしょ!あたしやるって!」 あたしはすぐに救急箱から消毒液を取り出して一氏くんの手当てをしようとした。 けど、一氏くんは怪我した腕をさっと後ろに隠す。 「手当てできないんですけど…」 「お前にされるくらいなら、謙也にやられた方がマシや!」 「はあ!?それどういうこと!?」 「そういうことや!」 「いや、意味わからないから!腕出せ!」 「嫌や!」 「金ちゃんみたいやで!ほら、早く腕出せ!」 「お前かて白石みたいやわ!」 「うるさい!」 「なんでお前にやられなアカンねん!」 「あたしマネージャーだし!こんなこと当たり前でしょう?」 「当たり前やないやろ!俺、お前がマネージャーって認めてへん!」 「………」 「(え、急に黙るなや)」 何なんだこいつは…! アンタに認めてもらうためにこうやってドリンクとか頑張って3日経つのに。 この人はまだあたしのことを認めていないのだろうか。 「ええよ、もうええよ」 「はあ?」 「1人で手当てしなよ」 「い、言われなくてもやるわ!!」 「後で小春ちゃんとか呼んで、やってーだなんて言うのもナシだからね」 「わ、わかっとるわ!」 「…じゃあ、あたしスコア表やらなくちゃいけないから」 「おう!さっさと行け!」 「1人で頑張ってね〜、ひ・と・う・じ・く・ん」 肘の手当てするのって自分じゃ苦労するんだから。 あとで絶対にあたしにやってもらえばよかった、だなんて後悔するんだから。 あたしは部室から出てドアを勢いよく閉めた。 「なんで俺がキレられなアカンねん」 が部室から出ていったあと、一氏がぼそりと呟いた。 久しぶりの更新です。これから僕等と交代で更新していく予定…笑 10.05.31
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